マザーハウス・ラブレター・プロジェクト(MLP)のご案内
※2023.12.26更新
このたびはマザーハウスの活動にご興味を持って頂き、誠に有難うございます。マザーハウス・ラブレター・プロジェクト(MLP)は、刑事施設に収容されている人々(受刑者)と、社会のボランティアを文通によって繋ぐ活動です。「ラブレター」には、「真心のお手紙での交流を」という願いをこめています。お手紙を通して、相手の方と、心と心の交流をして頂ければ幸いです。
話し相手がいる、向き合ってくれる相手がいる、自分は大切にされている、自分は必要とされている、と実感することが、更生改善・社会復帰への第一歩になると信じて、私たちはこの活動を続けております。
MLPの理念
多くの受刑者が、逮捕後、友人はもとより、家族や親戚とも音信不通になり、孤立無援の状況に陥ります。私たちは、受刑者を「犯罪人」のまま社会から疎外するのではなく、「以前は同じ社会で隣に生きていた人、そして刑が終了したらまた戻ってきて再びともに生きていく人」としてとらえ、社会の人々とのコミュニケーションを絶やさないことにより、健全な精神を取り戻して、二度と犯罪を繰り返さない、二度と被害者を出さない、「犯罪からの離脱」へ繋げられたらと願っております。
加害者になろう、と思って加害者になる人よりも…いつの間にか、だったり、騙されて知らずに、だったり、気付いたらもう戻れなかった、だったり、ふと注意が緩んでしまった瞬間に、だったり…「加害者になる」ことを意図せずして事故・事件に加担してしまう人の方が、実際は多いかも知れません。誰でもある日突然、被害者になる可能性があると同時に、加害者になる可能性があります。文通などを通して、受刑者と関われば関わるほど、彼らが、どこかの遠い存在なのではなく、同じ社会に生きる同じ人間であると実感するはずです。
受刑者の更生・社会復帰は、刑事施設だけでは完結せず、社会の人々の協力・受け入れが不可欠です。社会で認めてくれる人、応援してくれる人が必要です。でなければ、社会に戻ってきたときに居場所を作れず、再び刑務所に戻ってしまう悪循環に入ってしまいます。(事実、日本の再犯者率は5~6割と非常に高いです。)真に、社会で生きていくといえる社会復帰は、「社会・地域で受け入れられる」ことが欠かせません。
受刑者を、単に「犯罪人」「悪人」「モンスター」としてとらえるよりも、同じように生まれた一人の人間として、一対一のお付き合いをして頂ければ幸いです。そして、文通を通して知った、刑事施設の現状、受刑者の人権問題、死刑に関する問題など、普段なかなか直面することのない事柄について、少しでもご理解頂けたら幸いに思います。
私たちは真剣に、社会に訴えます。皆様の愛とゆるしが、受刑者の更生改善に役立ち、必要です。自分を否定する言葉、殺す言葉ではなく、自分を励ましてくれる言葉、生かす言葉に飢えている人が大勢います。自分を受け入れ、自分の話に耳を傾けてくれる存在に飢えている人が大勢います。
そして、自分の状況すら分かっていない人、常識や社会通念を持たない人も少なくありません。それは、人との心と心の交流がほとんど無かったからです。だから人の気持ちが分からず、相手の嫌がることを自分も同じように感じることができないのだと思います。たとえ同じような境遇で育っていても、他に居場所のある人、聞いてくれる存在と出逢った人は、そこで人と向き合うことを学び、違った道を歩むと思うのです。逆に言えば、どんなにひどいと思える人間でも、出逢いによって変われる可能性があるはずです。
ぜひ、変えようとするのではなく、皆様の真心からくる言葉をかけて、相手を受け入れて下されば幸いです。それにより、知らない間に少しずつ相手も変わっていきます。耳を傾けること、受け入れること自体に大きな愛があり、彼らがそこで愛と出逢うからです。受け入れられる安心感を知り、自分が大切にされているという体験をするからこそ、相手の嫌がることはしたくないと思えたり、人のことを大切にしようと思えたりできるようになります。それには、社会にいる皆様お一人おひとりの愛とゆるしが必要です。多くの方に、このMLPの活動をご理解頂き、また、ご参加頂ければ大変嬉しく思います。
※参考:【イベントレポート】1月25日(土)「文通講座」:受刑者との文通、刑務所の中での「手紙」という存在について
具体的には・・・
- 「相手を更生させよう」としてお手紙を書く、というよりは、社会での交流と同じように、友人関係のような、自然なやり取りをお願い致します。日常の出来事、季節のこと(絵葉書等)など、一見、何でもないと思える内容を交わすことが、誰かとの「何気ない」会話に飢えている人にとっては、大きなことになります。
- 常識的に良くないと思われる内容や、明らかに「甘え」だと思われる事柄に関しては、はっきりと断ったり、注意したりして頂ければ幸いです。
- 聞かれたくない質問、返信を書きづらい事柄、共感しにくい話題などは、ノーコメント(スルー)で大丈夫です。書きやすい部分の返信を書いて頂き、積極的に話題を振って頂ければと思います(あるいは、相手の方が積極的に書かれる方でしたら、聞き役に回って頂ければと思います)。
特にご注意いただきたい点
- 参加にあたり会費などはありませんが、切手・便箋・封筒など、文通に必要なものはご負担をお願いしております。(※相手の方の分はご負担頂く必要はございません。)
- 物資や切手、金銭の支援は一切禁止です。
(※どうしても何かの折にプレゼントしたい、という場合には、年に一度、書籍一冊程度をお送り下さい。ただ、相手の方が指定する書籍をお送りすることはおやめ下さい。) - MLPで知り得た相手の方の情報を、第三者には絶対に漏らさないよう、お約束願います。相手の方は、一対一のプライベートなやり取りであると信頼してお手紙を書かれています。たとえ家族等の身内であっても、相手の方に無断でどなたかにお手紙を見せたり、内容を話したりすることはおやめ下さい。
- 文通を円滑に進めるため、スタッフの人件費がかかります。ご寄付のご協力をお願いいたします。ご寄付については こちら
文通ボランティア ご参加の流れ
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文通ボランティアをされるにあたっては、精神的な面でのご負担が少なくないと思われます。よくご検討の上、お申し込み頂きますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。特に、文通相手が決まってから辞退される場合や、ご連絡のないまま文通が途絶えてしまう場合は、他人との交流が極めて少ない相手にとって、かなりのショックを残す可能性があることを、ご考慮ください。(ただし、相手の方のお手紙の内容が、あまりに軽率・不快なもので、ご負担に感じる場合には、無理せずご辞退ください。)
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刑事施設は非常にデリケートなところですので、お一人の行動によってMLPの活動全体が停止してしまう可能性があります。ぜひ、個々のボランティア活動としてではなく、マザーハウスのスタッフの一員として活動する、という自覚を持って頂いた上でご参加くだされば幸いです。
MLP文通ボランティア お申込みは こちら
お問い合わせ
〒130-0024 東京都墨田区菊川1-16-18 3F NPO法人マザーハウス
MLP文通係 宛
Eメール:loveletter_project@motherhouse-jp.org