府中刑務所にて受刑者と面会することができました。

先日の名古屋拘置所では、親族以外面会はできないという対応でしたが、
今回、府中刑務所では、同行したマザーハウスの他の理事も一緒に面会をすることができました。
通常は認められることの少ない例ではないかと思います。

社会に待っている人がいることを面会を通じて伝えてくることができました。
もっとこうした面会が認められるようになっていくことを切に願います。

 

支援者による面会体験記

(文責:杉村さん)
初めまして、4月からNPOマザーハウスのお仲間に入れて頂いた杉村と申します。
先月、五十嵐さん風間さんとZoomで話をしていて、現場に出向くことは重要なことだという話になり、マザーハウスと関係のある人と面会する企画を立てて、3人で府中刑務所に行ってみました。

五十嵐さんも風間さんも何度か刑務所には行かれていますが、府中刑務所での面会は今まで実現していなかったとのことですし、杉村はもちろん刑務所そのものが初めてですので、今日の府中刑務所は記念すべき場所となりました。
当日は暑くもなく寒くもなく、曇り空で日差しも強くなく、遠出をするには丁度良い日和でしたが、遠いこともありますが、電車で行くには乗り換えの回数が半端ではなく、アクセスが大変でした。

13時半に北府中駅で風間さんと杉村が落ち合い、刑務所までは10分くらい歩きます。線路の向かい側は東芝府中工場が広がり、完全な東芝の町です。調べてはいませんが、五十嵐さんの話では府中刑務所の敷地は、東芝からの借地だそうです。

刑務所の正門まで長い距離があり、まず職員の宿舎が見えてきました。団地さながらで、何十棟もありそうな感じで、職員の数も凄いことが分かります。宿舎に住む子供たちも多く居ました。
車の五十嵐さんとは正門で待合せました。正門の門番は結構緩めでしたが、それは職員宿舎に住む家族も出入りする正門なので、皆さんは顔パスで入っていました。でも敷地に入って暫く行った駐車場および体育館の前にある刑務所の門からはチェックが厳しかったです。

まず、携帯、カメラ、PC、スマホ、その他の電子機器などは預けなければなりません。書式に面会相手の名前と自分の名前および所属を書くのは当然ですが、何のために何の目的で面会を希望するのかを、事細かく具体的に詳細に書かなければなりませんでした。そして、免許証など写真付きの身分証明書を提示し、金属探知機のゲートを通って建物の中に入りました。

さらに建物の中にもチェックポイントがありました。受付を通った後、面会に対する内容や理由を質問をされ、細かく答えて別の担当者を納得させなければなりません。持ってきた荷物やバッグは全て預けた後、手帳とペンのみの状態で30分は待たされたでしょうか。

待っている間に、五十嵐さんの貴重な刑務所の中の話を、風間さんと杉村は聞かせて頂きました。例えば、保護房(ほごぼう)と懲罰房(ちょうばつぼう)の違いや特徴の話。LGBT専用の房がある話などから始まり、刑務所内で取得できる資格や面会時間(拘置所は15分、刑務所は30分)、手紙は1回に1通しか出せないなど、色々と聞かせて頂きましたが、その詳しい内容は別の機会にしたいと思います。

そして漸く受刑者と面接が出来る呼び出しがかかりました。ここで不思議に思った方が、もしかしたら居られるかも知れません。
・・・そうです、私たち3人は受刑者に「面会」に行ったのですが、今回許されたのは「面接」でした。面会と面接の何が違うのかについても、別の機会に五十嵐さんに詳しく語ってもらおうと思います。ともあれ今は「面接であれば」ということで私たち3人は面接室に入ることができました。
それでも、五十嵐さんの話では、今まで府中刑務所に対しては、面会はおろか面接も出来なかったのだから、今日はラッキーだったということになります。それには事前の下準備があったからです。ではどんな事前準備だったかについては、それも長くなりますので別の機会に五十嵐さんに解説して頂けたらと思います。
面接室はTVドラマや映画で見られるような接見場所でした。3人で入るには結構狭い場所で、ましてやコロナ禍なのに全く換気がされていない状態でした。

一番困ったのは、受刑者と面接者は強化ガラス板で仕切られていますが、お互いの言葉が聞こえるように下の方に穴が開いているのが普通です。しかしコロナ禍で穴は青色の養生テープのようなもので塞がれており、音の通りが異常なほど困難な状態だったことでした。お互い、叫ぶような大きな声で話さないと、相手が何を言っているのか全く聞こえません。
それでも思った以上に元気な受刑者の表情に安堵できたことが救いでした。毎日作業場で検品作業を行っており、最近老眼鏡を買ったと言われた時も、明るい感じで喋られていたので日々ちゃんと過ごされていることは伝わりました。

しかし、「作業のない日は何をしていますか?」と質問した回答が、「何もしていない」だったのには心配しました。読書も余りしていないようです。自分への振り返りや向き合い、社会との繋がりのためにも、出来る活動はやった方が良いのになぁと思いました。
とはいっても、「気分転換やストレス発散はどうしていますか?」の質問に対しては、一言「筋トレ」と明るく言われたのは少し安心しました。出所にはまだ何年かありますが、出所後は仕事をすることになるので、体力づくりのトレーニングは大切なことです。

バッジも緑バッチから赤バッジに変わったようです。赤バッジだと手紙が月に5通出せるとのことで、五十嵐さんは「君のことを気にかけている人は多くいる。それぞれの人に一杯手紙を出しなさい」と叱咤激励して、受刑者のモチベーションを鼓舞されていました。
30分間の面接時間でしたが、それなりの時間だったと感じました。面接終了後は刑務所内の売店に寄り、生活用品や文具などを購入し、受刑者に差し入れしました。

まだまだ書き足りないことはありますが、それぞれの詳細はキーワード毎に別途詳しく書いた方が良い感じです。ともあれ杉村としては生まれて初めて刑務所という場所に来て、実際の面接もやってみて、多くのことを学ばせて頂きました。これを契機に、どうそ引き続き宜しくお願い致します。
刑務所を出た後は、3人で受刑者が作業で作った製品の販売所に寄りました。そして五十嵐さんはラーメンその他、杉村は写真の牛革製の小銭入れを買わせて頂きました。

牛革製の小銭入れが税込み280円!

(終わり)